合併調整案がまとまった。各項目ごとの負担がおおよそ確定し、当局も説明用の冊子を作成して、地区懇談会で説明している。しかし、その表を見て実際に自分の世帯が年間どれくらい負担増になるかを感覚的に理解できる人は少ないだろうと思う。1年間に家庭から出るゴミの質や量、水道の使用量、所得階層の区分など即座に答えることができて、計算もできるなんてことはまず考えられないからだ。より、実感的に合併後の暮らしや影響を理解してもらうには「世帯ごとの試算のほうがわかりやすい」と考えた僕は、地域や家族構成を具体的に想定して、負担の変化を試算してみた。また、より正確を期すために試算の方法や結果について役場の担当職員に確認もおこなった。そうして出てきた結果は、センセーショナルなものだった。高校生のいる世帯では年間約25万円。保育園児のいる世帯では年間約14万円の負担増になるという試算結果が出たからだ。その結果をビラにしながら、僕は少し躊躇した。いくら事実といってもこの結果をビラにして出したら、合併を推進しようとする人々から「あえて不安を煽る」とか「川崎は合併に反対だから、こんなビラを書いた」などと言われるのではないかと考えたからだ。しかし、このビラはあくまで事実であり、意図的なものではない。このビラを読むことによって少しでも合併に関心を持ち、自分の問題として合併を考えてくれたとしたら、それだけでこのビラを発行した意義があるのではないか。そう考えて新聞折込みに持っていった。
「田辺市と合併したら負担増になる」という現実はわかった。では、どうすればいいというのか?こういう問いが当然聞こえてくる。次のビラは、田辺広域合併の現実について分析した結果を住民のみなさんに知ってもらえるようなものにしようと準備中である。