市議会文教民生委員会は、10月27日から2泊3日の予定で大分県へ視察。
7時20分に紀伊田辺駅を出発し、関西国際空港から空路で福岡県に行き、筑後市を視察。
筑後市では「食育条例」と「子育て支援拠点施設おひさまハウス」について、視察および研修をおこなった。
平成17年6月に成立した国の
食育基本法において市町村が策定を求められた食育推進計画や条例を学ぶのが視察の目的。
筑後市は「
ちっごの生命(いのち)をつなぐ食育条例」を制定し、「
ちっごの生命(いのち)をつなぐ食育推進計画」では具体的な数値目標も掲げて食育環境の充実を図っている。
食育に関しては、2005年11月の市長選挙のマニフェストにも掲載されたということでかなりリーダーの強い意志がうかがわれる。
その影響もあってか住民アンケートから見る「食育に対する市民の意識」も全国平均より高いようである。
実際の計画推進上、市においては、子育て支援センター・中央公民館・社会教育課・健康づくり課・福祉事務所など各課横断的に取り組みが行われているようで、縦割り行政の改善という点ではプラスに作用するように見えた。
近年、種々雑多な計画や条例の制定が国からトップダウン方式で求められる。
そして、これらのほとんどが地域住民の要求から出発していないことから、計画は策定されるがその後は放置されるというものが少なくない。
(住民要求でない条例の典型は
国民保護計画だろう)
しかし、筑後市の食育推進計画は具体的な数値目標を設定し、常に計画に立ち返り、進捗状況が点検されるという体制が作られており、他の計画に比べて秀でた特徴を持っていると感じられた。
一方、他市の条例なので現地での発言は差し控えたが食育条例の中で「私たちは、近年の食習慣の乱れなどから、生活習慣病の増加、食物アレルギーの発現や免疫力の低下など深刻な問題を抱え込みました。」という表現に少し引っかかった。
「食習慣の乱れ
など」と原因が複数あるようには表現しているものの「食物アレルギー」などが消費者の自己責任において拡大しているかのような表現であり、企業の論理によって食物そのものが保存料など化学物質によって汚染されているという現状にまったく言及していないのは残念に感じた。
食の安全性を確保していくことも食育の重要な柱であるので、田辺市において条例を制定するときにはこの観点を欠落させないよう注意しようと思う。